金子光春『絶望の精神史』

僕は腕時計を手のひら側に時計の文字盤がみえるようにはめている。それはいつの頃からだか覚えていないが、祖父がそうしていたことは覚えている。何故そんな女性がするようなはめ方をしていたのかといえば、医師であった彼が患者の脈を図るときに便利だったからだときかされたことがあった。つまり脈を図りつつ時計で時間をみる時にそのままの手の向きですることが…
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今年観た映画(2019)

・万引き家族 ・怒り ・悪人 ・海街diary ・リマスター・サム・クック ・レディ・ガガ ・アメリカン・ミーム ・ザ・ビートルズの世界革命 ・ザ・ビートルズeight days a week ・魔女はなかなかやめられない ・スクール・オブ・ロック ・ジャニス リトルガール オブ ブルー ・ザ・ビートルズ 50年…
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2019年今年の読書

ヴァレリー『テスト氏』福武文庫 小林信彦『名人 志ん生そして志ん朝』朝日文庫 三島由紀夫『憂国・花ざかりの森』新潮文庫 鷲田小弥太『日本を創った思想家たち』PHP新書 三島由紀夫『仮面の告白』新潮社 富田均『寄席末広亭』平凡社 澁澤龍彦『三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン』河出文庫 アンドレ・ルロア=グーラン『身ぶりと言葉…
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今年観た映画(2018)

・三度目の殺人 ・万引き家族 ・モリのいる場所 ・麒麟の翼 ・先生・・好きになってもいいですか ・わたしを離さないで ・ワン・デイ ・ホリディ ・ナミヤ雑貨店の奇跡 ・寒椿 ・ディッセンバー・ボーイズ ・四月は君の嘘 ・百円の恋 ・ボヘミアン・ラプソディ ・キラー・エリート ・奇跡のリンゴ ・阿修羅のごと…
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水上勉『五番町夕霧楼』

夕霧楼の主人酒前伊作が急逝した樽泊に夕霧楼を引き継いだかつ枝とお供の久子が弔って間もなく、近隣の村から樵をしている父に連れ添われた夕子がいた。 寝たきりの母と兄弟を抱えた生活の苦しさから、この娘を預かって欲しいと頼まれたのがことの発端であった。 かつ枝がひとめみて店の看板に出来ると思い、即座に夕子を連れて五番町に引き連れていった。 …
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泉鏡花『日本橋』

ある書評には鏡花のものでは異界小説は良く読まれているが、『婦系図』や『日本橋』のような花柳界小説などはさほど読まれていない傾向にあるように書かれているが、僕は寧ろ後者の方を好んで読んできた傾向にあった。 というのも落語の世界でいえば「郭噺」などの花魁や遊女を扱ったものを好んで聞いていたし、いわゆる漂流民であった民だったものが、徳川幕府…
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野上弥生子『迷路』

省三の郷里九州のとある町は、当時どこにでもあったかに思える狭い土地のなかで固陋な利害関係からの「あっちのもの」同志の角突き合わせ、関わりを拒否し合う関係による確執が人間関係をがんじがらめにしている。一方が戦争景気で栄えれば、他方が妬み、憎しみ、蔑むという関係があり、間違っても親しい接触をしてはならない風土を持っていた。 それを破るのが…
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檀一雄『火宅の人』

 晩年までの長い期間を経て書き続けられなければならないほどの価値があったのかという疑念が起こるのを暫く止めることが出来なかったのは正直なところで、これがこの作家の本領では必ずしもないのではと思うに充分な他の作品に出会わなかったら思い返すこともなかったかもしれない。 私小説的なロマン主義の作風という括りであろうこの作品であって、ほぼ檀の…
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2018年読書

松岡正剛『外は良寛。』 子規全集 俳諧研究 17巻 野上弥生子『一隅の記』新潮社 夏目伸六『猫の墓』文芸春秋新社 内田百間『百鬼園 大貧帳』六興出版 内田百間『第二阿房列車』旺文社文庫 向田邦子『眠る盃』講談社文庫 須之内徹『絵の中の散歩』新潮文庫 寺田寅彦『柿の種』岩波文庫 寺田寅彦『寅彦随筆集』第一巻 岩波文庫 …
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アラン・クレイソン他・『オノ・ヨーコという生き方』

まず目次を追ってみると次のようになっている。 1 ビフォア・ジョン ジョンと出会う前の人生  1末裔  2少女  3花嫁  4寡婦  5ヴィレッジ住民  6訪問者 2 ジョンとヨーコ  1未完成の絵とオブジェ  2ライフ・ウィズ・ザ・ライオンズ 3平和を我等に 4プラスティック・オノ・バンド 5無限の宇宙 6…
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「昭和天皇独白録」

「昭和天皇独白録」第二巻 宣戦の詔書 東条は度々宣戦の詔書案を持ってきた。 最後の案を裁可するときに、私は東条に対し明治天皇以来、英国とは厚い誼があり、私も外遊の際、歓待されたことがある。青の英国との袂を分かつのは、実に断腸の思いがあると話したが、東条は音で木戸に、対英感情はかくも違うものかと感想を述べたそうである。 「…
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『昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記』

本著は、寺崎英成が記した「昭和天皇独白録」、その寺崎が書き残した「御用掛日記」、そして寺崎の一人娘マリコ・テラサキ・ミラー、「遺産の重み」の三部構成で編まれている。 長文なので第一巻をまず抜粋し、残る第二巻を記したあとで若干の感想を書いてみたいと思う。 (以下抜粋) 大東亜戦争の遠因 大正八年、パリ平和会議席上「人種…
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宮本輝『慈雨の音』

宮本輝「流転の海」シリーズ第六部として書かれた『慈雨の音』は、一家が大阪に住み、熊吾は明治の男の破天荒な生き方を保ちながら老いのかたちも見せるようになった。  中学生になった信仁は思春期を迎えるが、相変わらず身体が弱いため、父の命令で幾種類ものビタミン類の静脈注射をして丈夫な身体になる。  印象的な場面として、一つは浦辺ヨネが亡くな…
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宮本輝『血脈の火』

五十歳になって初めて生まれた息子信仁の健康と妻房江のためそれまでの事業を捨てて生まれ故郷南宇和に帰った松坂熊吾だったが、長閑な田舎生活のなかにも小さな波乱が親子三人の平和な生活に待ち受けていた。なかでも「わうどうの伊佐男」こと増田伊佐男というならず者が熊吾にまだ若年のときに負わされた怪我がもとで左足を生涯引きずって歩かねばならない身とな…
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F・D・ピート『シンクロニシティ』(続き)

ソリトン ある種の非線形方程式に見られる驚くべき特性のひとつにソリトンがある。これは、部分がいかに全体の表現として現れうるかを、劇的に示してくれるものである。ソリトンのイメージを使うことによって、意味のある局所的なパターンが、いかにして一般的な背景から発生してくることが出来るかが見えるようになる。 ソリトン画面密な数学的研究の大…
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F・D・ピート『シンクロニシティ』

「シンクロニシティ」 最初に簡単な感想を述べておくと、これまで自分が様々な著書に出会い拙くも蓄積してきた総体の集積の総括的な集約点に漸くたどり着いたという印象をもつことができるものに出会えたという気がしている。 単に物理学の一著書というだけではなくありとあらゆる著書からえられた知識や物の考え方の総体ががここに集約され纏め上げられ…
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ジークムンド・フロイト『モーセと一神教』

この著を読む動機となったのは所謂「中東問題」の根底にあるものについて知りたかったからに他ならない。  心理学者フロイトが最晩年に論考したもので、彼としては短期間に研究した結果を表した者である。  しかしこの論についてはいまだ認められてはいない。というのもモーセの謎とフロイトの謎が二千年の時空を越えて荒縄のように直結してしまっている。…
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『旧約聖書 ヨブ記』

一回目を読み終わり二巡目に入っているところだが、この書は理解するというよりあらゆる人間の持っている要素の機微を「味わう」もののように感じた。 感じたのであって思索したのではない。思索は解説書『旧約聖書一日一章』にゆだねた。 身をゆだねるように書の語るままにまかせてその大海に漂った。 それほどあたかも音楽のように読んだ。 散文…
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石川公彌子『<弱さ>と<抵抗>の近代国学』

相変わらず石川公彌子『<弱さ>と<抵抗>の近代国学』と小林秀雄の『本居宣長』を読み進めている。どちらが主かと言えば石川の方を基底としながら、関連する著述を漁っているという具合なのだが、今石川著では保田輿重郎の章を読んでいるところである。一方小林の方は宣長の「もののあはれ」論を記述した部分を読んでいる。この二つは符合し逢う。所謂『源氏物語…
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山本七平『小林秀雄の流儀』

山本七平の『小林秀雄の流儀』のなかのタイトルになっている文を読み終えた。後もう少しで読みきれる。  この一文にトルストイの「家出問題」のことが書かれてある。  僕の生活はモーツアルトやゴッホと同じで、今の境遇はトルストイやソクラテスと同じだ。  そんなこと言ってももわかる筈もない者と暮らしているのだから共感など得られる生活など得ら…
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ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』

この小説に登場するダルジェロに自分の兄をみつけ、ジェラールやアガートに妻をみつけた。   この小説の中に自分にとって「宿命的」な存在を見いだすかも知れない。 そして人は幼いときに既に宿命的な存在を見いだすものなのかも知れないとも思った。    僕には二歳年上の兄がいる。彼は危険で冒険的な子供であった。その危うさはいつも重大で英雄…
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小林秀雄『モーツアルト』

小林秀雄は真実正直で嘘のない裸の批評家だといっていいだろう。これに対比する物書きのことを云々すことは避けよう。語っても馬鹿馬鹿しいだけだ。  『モオツァルト』のなかに「裸の」という言葉が頻繁に出てくる。モオツァルトを評するにこの言葉を使った小林自身が裸であったことを実感する。裸でなければ「骨」かもしれない。  人間の真実は骨であると…
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ドストエフスキー『罪と罰』下巻

  少なくともドストエフスキーの『罪と罰』を読むにあたって聖書は欠かせないと感じていた。   それはともかく昨日は「コリント人への手紙」15章をメインに読み、且つ解説書で調べ尚してみた。   「キリストの復活」「死者の復活」「復活の体」あたりを読む。メインは「死者の復活」である。  「12 キリストは死者の中から復活した。…
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幸田露伴『幻談』

 露伴の博覧強記は何事につけ我々の前に披露されるのであるが、こと釣りに関してさえこれほどという最早茫然自失となる始末で、綴られるままに従順に読み進める他ないという案配である。  ここでは江戸前釣りなる蘊蓄の詰まった釣り自体や竿の種々が物語のなかに挿入されて、わかったような気分にさせられる。  さて「幻談」であるが、この話の本…
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ドストエフスキー『罪と罰』上

漸くドストエフスキー『罪と罰』上巻を読み了えた。いつも思うのだが、こうやって読み終えた本を書棚に戻す時、満足感ではなく、抜け殻になった気分で骨壺を棚に納めるような気分になる。そして毎年読んだ本を一冊ずつ記録しているのだが、予め書いてある書名に単に(読)と記すだけの呆気なさに報われない気持ちを抱いてしまう。その記述を呆然と暫し眺めているの…
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鴨長明『方丈記』

 日本三大随筆のひとつとされる鴨長明の『方丈記』に今日は遊んだ。というのもバブル崩壊後の自民党政権の凋落ぶり、そして小泉政権によって復権したかにみえた後、第一次安倍内閣から政権交代劇にいたるまでを振り返る番組をみながら、平成ならぬ平安期から武士の世界に移り変わる大変動の歴史を重ねてみたからでもある。  長明の生きた時代を詳らかに且…
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長谷川時雨『近代美人伝 (上)』

この一文を書くのにやや躊躇があって、他の読みかけの本を読もうか、それとも仕入れたばかりのエアブラシで遊ぼうかとなるたけ遠巻きにして考えていた。どうも気が重い。今まで書いた白蓮や九条武子にせよ、これほど燃えさかる情熱で身を焦がし我が儘極まりない「女優」の破天荒ぶりには書き手の僕にして(いや実際は時雨が書いたのだが)「厭な奴」はなかった…
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菊池寛『恩讐のかなたへ』

菊池寛 『恩讐の彼方に』  戯曲『父帰る』とともに一冊となっているが他に『藤十郎の恋』も合わさっているものもある。  『父帰る』は小学校の時学芸会でやっていたクラスもあったように思うが、覚えていない。短い戯曲である。  二十年間も家を出奔した父が突如帰ってきたものの、家内では受け入れられず、特に長男からは冷たい言葉を投げか…
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長谷川時雨『近代美人伝』下巻

 何の切っ掛けか柳原白蓮こと燁子に異常に興味を抱いてしまった。  石炭王伊藤伝右衛門に二度目になる再婚をし、何不自由ない生活だが、愛のない不毛な生活から逃れ宮崎という年下の活動家のもとに嫁いだ数奇な人生。  これは長谷川時雨が書いた『近代美人伝』上下巻の下巻のなかに綴られていたのを今になって読み返した。これがkindle版でそれぞれ…
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与謝野晶子『私の生い立ち』

 ほぼ定期的に松岡正剛「千夜千冊」を遊興をするのだが、先日は中勘助の『銀の匙』から始まった。幼心がテーマということになろうか。  『銀の匙』のところはもう何度も読んでいたので、そこから繋がるものを探していた。  「けなげ」という言葉にひっかかって北野耕也『近代日本少年少女感情史考』にぶつかった。    書き出しに与謝野晶子の『私…
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泉鏡花『吉原新話』

本を読むとりわけ文学などを読んだ後、「面白かった」と感想を述べることが日常だが、これは女性がよく使う「かわいい」と同様、何でもかんでも一緒くたにして発する感嘆の言葉である。  これをしかめっ面しく分析する暇もないが、色んな層にわかれているのだろう。  今回読んだ鏡花の作は、タイトルからは郭っぽいイメージに思うが、実は怪談めいた話…
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2017年読書

芥川龍之介『手巾』 芥川龍之介全集第一巻(読) 泉鏡花『吉原新話』 kindle(読) 尾崎紅葉『金色夜叉』kindle 鴨長明『方丈記』kindle(読) 泉鏡花『外科室』kindle(読) 太宰治『走れメロス』kindle 泉鏡花『廓そだち』kindle(読) 泉鏡花『菊あわせ』kindle 与謝野晶子『私の生い…
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芥川龍之介『手巾』

このところ映画を観ていなかった。久々になるが、なかなか一本映画を観るというのがなかなかだったからだ。 今回観たのはロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)主演の「マイ・インターン」(原題: The Intern)で2015年作。 これを3日かけて観た。見始めては観、思いついて続きを、やっとのことでラストに辿り着くという具…
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『カラヴァッジョへの旅 天才画家の光と闇』宮下規久朗

最近読了本が少なく、必要に応じて拾い読みしていることばかりいたので、レビユーとして書けるものがなっかった。 しかし、思うにそもそもレビューには必要条件というのが有るはずだ。簡略であっていいが、一応書物の眼目を含んでいること。更に関連する著書に派生する事の出来るリンク性が必要だと思っている。だから、「一文は多文に殺到している」という格言…
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立川談志『童謡咄』

丁度今、談志の『童謡咄』の途中で、「露地」のことが出てきた。露地に鉢植えを置く風情について書いている。花のことは殆ど知らないが、「都忘れ」なんて出てくると、何それ?となる。語呂がいい。「夕顔」くらいは知っている。「朝顔」「昼顔」の「夕顔」でしょう。陽が沈んじゃったら花は開かないので、夕顔といえどまさか陽のどっぷり沈んだ夜中には咲かないで…
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ヒトラー強盗美術館 (1968年) (Pen nonfiction) ケン・ウォンストール

デヴィッド・ロクサン、ケン・ウォンストール共著の『ヒトラー強盗美術館』を読み出す。五木寛之著『戒厳令の夜』上・下に記されたヒトラーの「リンツ美術館計画」のことである。結構いい資料だ。出だしのとこでこの計画に籠められたヒトラーの動機、青年時代の怨念を晴らす為の計画であったことを示されている。読みながら思いついてチャップリンの「独裁者」…
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五木寛之『戒厳令の夜』上・下

この著の扉から最初の頁に一行「四人のパブロ」が同日に亡くなったというショッキングな出だしがあって、その四人とはパブロ・ピカソ、カザルス、ネルーダ、そしてこれは実在した人物を架空化したと思われるパブロ・ロペス。こんな偶然があるのかという驚きは読むうちにさほどのことではなくなるのだが、SF的だがその壮大な構想力に舌を巻く。 ナチス・ド…
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宮本輝『地の星』

五十歳になって初めて生まれた息子信仁の健康と妻房江のためそれまでの事業を捨てて生まれ故郷南宇和に帰った松坂熊吾だったが、長閑な田舎生活のなかにも小さな波乱が親子三人の平和な生活に待ち受けていた。なかでも「わうどうの伊佐男」こと増田伊佐男というならず者が熊吾にまだ若年のときに負わされた怪我がもとで左足を生涯引きずって歩かねばならない身とな…
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『泥の河』宮本輝

宮本輝原作の「泥の河」を観る。1981年 東映 監督:小栗康平 出演:田村高廣、藤田弓子、加賀まりこ等だが、田村、藤田の息子役信雄と船上生活をしているきっちゃんこと喜一という二人の少年の位置づけが大きい。昭和31年の設定であるところが、自分の少年時代を重ねあわせやすい。安治川の川岸で貧しい食堂を営む信雄の一家と食堂の窓からすぐ見える河の…
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『共喰い』田中慎弥

何かとても気怠い日だった。寝ても寝てもその気怠さは遠退かず、何も手のつかないイライラばかりが体の奥で蠢いていた。それでも何度かにわけて一本の映画を観た。ナレーションが流れていて、それが久しぶりに心の琴線に触れてくる。原作は何か気になった。それは映画の題名と同じ『共喰い 』だった。作は田中慎弥という作家だった。1972年生まれの43歳。こ…
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『盗聴二・二六事件』 中田整一 文藝春秋

中田整一の『盗聴 二・二六事件』を読み続けている。とはいえ断続的にしか進捗していない。というのもYouTubeで2・26に関わるNHKが特集した貴重な映像がみつかったからである。中田氏がNHKにおいてプロデュースした歴史ドキュメンタリーが、この貴重な映像の3本のうち2本を手掛けていた。 一本は、NHK特集「戒厳指令…交信ヲ傍受セヨ ~…
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『妻たちの二・二六事件』 澤地久枝

澤地久枝『妻たちの二・二六事件』が届き「一九七一年夏」と題する序章的表題の章から始めるのだが、沈鬱な趣をたたえた書き出しはこの著が恰も小説であるかのような予兆を臭わせていたのだが、次に続く「雪の別れ」では叛乱罪で処刑された田中勝の未亡人と勝の母を訪ねた記録となって澤地のこの著の志すところの一端を理解した。 蹶起した男たちの行動が史…
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『三島由紀夫のニ・ニ六事件』 松本健一

『三島由紀夫の二・二六事件』を引き続き読み進める。更に2・26の首謀者であり蹶起軍の象徴的存在である磯部浅一について、松岡正剛は何か書き残していないか調べたら当然のごとく、北一輝の『日本改造法案大綱』にいきついて、再読だか再々読することになるのだが、今回また読み直してよかったと思った。 しかし読みながら以前自分が書いた松本健一の『…
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『パブロ・カザルス 鳥の歌』ジュリアン・ロイド・ウェッバー編

『パブロ・カザルス 鳥の歌』は37のタイトルによる小編ごとに短いエピソードやカザルス自身の時にユーモアのある、時に辛辣な片言節句からなっている。97年の旺盛な精神力を持った人物の生涯を拾い読みすることになるこの詩集のような冊子から得るのは、偉大な芸術家には違いないが、チェロという何か工具のようなものを手にもって日々働く筋肉質な熟練した労…
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『ゲルニカ物語 ピカソと現代史』荒井信一

これを読もうと思った動機は朧気ではあるが憶えているのは戦場カメラマンのロバート・キャパの伝記を当時交流のあった友人から借りて読んだのが切っ掛けだったと思う。その著書のなかにあった「国際義勇軍」の義勇兵の表情を寫した一枚にいたく心惹かれ、これはいったいどういう事態のことなのか知りたくなった。第二次世界大戦の前哨戦であったスペイン内戦のこと…
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2016年読書

レニ・リーフェンシュタール『回想 20世紀最大のメモワール』上 椛島則子訳 文芸春秋 荒井信一『ゲルニカ物語 ピカソと現代史』 岩波新書 宮本輝『幻の光』新潮文庫 『パブロ・カザルス 鳥の歌』ジュリアン・ロイド・ウェッバー編 池田香代子訳 筑摩書房 『三島由紀夫のニ・ニ六事件』 松本健一 文春新書 『盗聴二・二六事件』中田…
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レニ・リーフェンシュタール『回想 20世紀最大のメモワール』上

これは現役時代に衝動買いした一冊だったが当時レニについての知識は全くなくただ表紙の彼女の写真になにかありげな直観を感じて購入した。レニ・リーフェンシュタールはナチスドイツ時代、ヒトラーに請われていくつかの有名なナチのプロパガンダ映画を製作した女性。昨日は宣伝大臣ゲッペルスとの確執のあたりを読んだ。もともとは女優でスキーヤーで更に映画製作…
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『日本のいちばん長い日』半藤一利

半藤一利の『日本のいちばん長い日』を読む。今まで読んできた松本健一や半藤氏による昭和史の締めくくりのような気持ちで読んだ。昭和史とはいうが実は明治の開国以来の歴史が綿々と繋がっている。そこのところを踏まえつつ敢えて昭和とはどんな時代であったかを問うのである。 この著は映画化されるときは当時無名だった半藤一利の名をはずし大宅壮一(編…
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松本健一『北一輝論』

松本健一の『北一輝論』を読み終えた後、偶々石川啄木全集が祖父の書斎にあったので、「評論・感想」の巻からいくつか拾い読みをしていた。というのも松本氏の著書のなかで屡啄木が引き合いに出されていたからである。で、まずは「時代閉塞の現状」「日本無政府主義者陰謀事件経過及び付帯現象」「思想と平民社一派の消息」等を読む。明治末から昭和初期という啄木…
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世阿弥『風姿花伝』

世阿弥『風姿花伝』、通常「花伝書」と呼ばれる世阿弥のものは野上豊一郎と西尾実が実校訂したものであるが野上博士とは野上弥生子女史の夫君である。父観阿弥より引き継いだ能楽の秘伝を著し明治以降になるまで家伝として公にされることなく引き継がれた聖典である。 「この藝において、大方、七歳をもて初めとす。この比(ころ)の能の稽古、必ず、その者自然…
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